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今週の『ルームファニシング』茶の間談義




高級な養殖魚?

 某回転寿司チェーン店が完全養殖に成功した近大マグロをネタにした寿司の提供を始めた。近大マグロとは文字通り近畿大学が養殖化したクロマグロで、ニュースでも頻繁に取り上げられているのでご存じの方も多いだろう。

 近畿大学がクロマグロの完全養殖に成功したのは2002年。クロマグロは非常にデリケートな魚で、完全養殖は不可能とまで言われていた。近畿大学では1970年から研究を続け、30年以上かけてようやく成功に至った。2010年には豊田通商が近大と技術提携し、量産に大きな弾みがついた。それでも、海外の日本食店や近大直営のレストランなどでの販売が中心で、庶民が口にする機会はほとんどなかった。今回が大手外食チェーンで初の販売となる。握り6貫で980円と若干値が張るが、漁獲規制の対象となったクロマグロがクジラと同じ運命を辿る道は避けられたとみていい。

 今後、養殖量が増えれば安い値段でいくらでも大トロが食べられると思われそうだが、現実はそう単純ではないようだ。天然資源に頼らずに養殖ができるとはいえ、養殖魚を育てるには大量の飼料が必要となる。加えて、大量の魚を一ヶ所で育てるため、感染症にかかると全滅の危険もある。そのため、販売価格には下限がある。例えば、天然ブリが豊漁だった年には、市場に並ぶ天然ブリよりも養殖物のブリの方が倍以上高かったこともあった。天然魚よりも養殖魚の方が高級とは何とも奇妙な世界もあるものだ。



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