家具・インテリア情報 時事・コラム

時事彩々≪第23回≫沖縄辺野古移設問題




 沖縄米軍基地の辺野古移設をめぐる問題が紛糾している。当初予定になかった安倍首相と翁長県知事との会談も実現したが、お互いの意見は平行線のままだ。そもそも辺野古への移設ありきで常に話を進めてきた政府に沖縄県民が強烈な不信感を抱くのは当然の帰結と言える。

 長く沖縄県民は米軍基地による不安にさらされてきた。一度知人の紹介で宜野湾市にある普天間基地内を見学させてもらったことがある。基地内に一歩足を踏み入れると、そこはまさにアメリカだった。基地内のスーパーはコストコを彷彿とさせるようなアメリカンスタイルで、商品の陳列棚には日本で見たことがない会社名の商品が並ぶ。アメリカ本国から直接輸送されてきた商品だ。道路にはアメリカ人夫婦が娘の手を引いて歩く姿や大柄の黒人男性が大音量の音楽を聴きながらリズムに乗って歩く姿があった。この基地内の施設を沖縄の地元住民が利用することは基本的にできない。米軍基地は治外法権区域ではないが、駐留を認められた外国軍隊に一部日本の法律は適用されない。米軍基地を囲むフェンスはまさに国境線の如く思われた。島国日本における唯一の陸上国境線と言ってもいい。そんな国境の最前線で文化や歴史の異なる日本人とアメリカ人が同居すれば、軋轢やストレスが生じるのは当然のことだ。

 先日ニュースをみていて気になったコメントがあった。沖縄県で計画されているユニバーサル・スタジオ・ジャパンの新テーマパークを政府が支援しているニュースだった。細部まで記憶していないが、ある政府官僚の「これで沖縄県民も政府の本気度が分かっただろう」という趣旨のコメントがあった。聞いたと同時に吐き気を催した。飴を与えてやったから満足しただろうとも取れる侮蔑の籠った言葉だったからだ。官僚とはいったい何なのか。そこに心はあるのかと問わずにはいられない。心を失った政治は三流だと言っても過言ではないだろう。翻ってそれはビジネスにも当てはまる。心を志に置き換えてもよい。志や大義のないビジネスもまた三流と評されても致し方ないだろう。では、現在の家具業界における志とは何だろうかと深く考えさせられた出来事であった。



家具・インテリア情報
更新情報
アーカイブ(過去記事)