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時事彩々≪第25回≫上下両院合同会議での演説




 4月29日、米国連邦議会上下両院合同会議において安倍首相の演説が行われた。日本の首相がアメリカの上下両院合同会議で演説を行うのは初めてのことだという。この合同会議での演説を許されることは、アメリカが安倍首相を最大級のもてなしで迎えたといっても過言ではない。日本時間で30日未明となったテレビ中継を無理矢理早起きをして注視した。

 檀上に立った安倍首相は、演説が始まってすぐに多くのアメリカ議員からスタンディングオベーションを何度も受けていた。その拍手がたとえ演出の一環であったとしても、一人の日本国民として日本人の誇りを取り返すことができたように感じられた快事であった。半世紀以上の空白期間を経て、ようやく日米が対等な関係に立った瞬間であったようにも感じられた。ギャラリー席で、第二次大戦において硫黄島の戦いに参加したローレンス・スノーデン元米海兵隊中将と硫黄島守備隊司令官の栗林忠道大将の孫である新藤義孝氏の握手シーンは多くのアメリカ人の感動を呼ぶ演出であっただろう。安倍首相が約45分にわたってすべてを英語で話しかけたこともまた評価されたように思う。もはや恒例となった韓国メディアによる慰安婦問題の謝罪要求をさらりとかわし、過去を謙虚に振り返って第二次大戦における米国への反省と謝罪を述べ、未来志向に重点を置いたスピーチ内容も妥当なものであっただろう。今回のスピーチに関しては、したたかな安倍外交の巧さが光っていたように思えた。

 演説前日の共同記者会見でアメリカ大統領が日本語を交えながら会見する姿も異例なら、アメリカ側から安倍首相が何度も握手を求められる姿もまた異例であった。背景には中国のアジア投資銀行設立や強硬な海洋進出政策などの問題に共同して対抗していこうという意図があるのは間違いないが、アメリカ国内でも同盟国としての日本の価値が再認識されているのではないかと思う。

 ほんの数ヶ月前にたった一度の笑顔もなく握手を交わした日中首脳会談と今回の日米首脳会談を見て、日本国内の世論が今後どの方向に進んでいくかは安易に想像できる。ちなみに、2年前に韓国の朴槿恵大統領が米で演説を行ったのも上下両院合同会議であった。この演説で朴大統領は「過去に盲目的な者は未来も見えない」と暗に日本を批判した。その後、日本国内での嫌韓ムードが高まり、韓国への日本人旅行客が激減して、韓国経済に大きな打撃を与えている。それに比べれば、今回の安倍首相の演説は大人に徹した素晴らしい演説であったと思う。



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