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時事彩々≪第26回≫理想の国とは




 政府は14日の臨時閣議で安全保障関連法案を閣議決定し、翌日にはこの法案を衆議院に提出した。国会で可決されれば、これまで認められてこなかった集団的自衛権の行使が可能となり、紛争地での自衛隊の活動はより積極的なものとなる。第二次世界大戦の終結から今年で70年。その節目の年に、戦後続いてきた安保政策が大きな転換点を迎える。すでに戦争体験者の多くの方がこの世を去った。過酷な時代を生きてきた彼らは今日の安保政策をどうみるだろうか。

 今回の安保法案は憲法解釈を変えることで乗り切ったが、安倍政権にとって憲法改正が悲願となっていることは公然の事実だ。憲法改正については様々な意見があるだろう。押し付けられた憲法をいつまでも守り続けるのかという意見、敗戦国のドイツでは戦後50回以上の憲法改正が行われており、世界的にみても戦後一度も憲法が改正されていない国は珍しいという意見もある。戦後当時のGHQが日本の再台頭を恐れ、改憲の難しい体制作りや条文を盛り込んだという話も聞く。こういった話は一定の説得力を持つが、憲法改正でもっとも重要であるのは改正前と改正後の憲法の中身であるはずだ。

 5月6日、衆議院の憲法審査会の席上でこんな発言があった。自民党の後藤田正純氏によるもので、「憲法九条第一項の改正について、賛成意見のなかには普通の国にしたいという意見もあるが、理想の国であり続けるべきだ。戦後理想の国を作ってきたのは憲法九条第一項だった」という趣旨であった。改憲派が大多数の自民党内からの発言で注目が集まったが、その意見は確かにその通りだと思う。憲法とはその国の理想を示す、いわば血液であり骨のようなものだ。その理想がたとえ解釈の違いであっても、たびたび変わる国など信用できたものではない。アジア諸国から日本の歴史認識、とりわけ先の大戦への反省が足りないとよく言われている。だが、戦後70年間守り続けられてきた憲法9条こそが痛烈な先の戦争への反省にほかならない。戦後、日本の自衛隊は他国の人民を殺めることも、またその人民に向けて発砲したことすら一度もないはずだ。それは世界に誇るべきことではないのかと思う。最後に憲法九条第一項の条文を記載しておく。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」



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