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時事彩々≪第36回≫責任の所在は霧と消え
新国立競技場のデザイン案が白紙に戻り、再度新たなデザインの審査が始まる。オリンピック需要による建築費の高騰と「キールアーチ」と呼ばれる奇抜なデザインが当初の予算の2倍以上になった原因とも言われている。しかし、これらの理由を選考段階で考慮して試算を出すことはできなかったのだろうかと大きな疑問が残る。また、私見ながら大手ゼネコン各社の稼げるうちに稼いでおこうというスタンスが高騰の要因にもなっているようにも思える。
森喜朗氏が「元々あのデザインは嫌いだった」と発言するなど、各界からデザイン批判の声が上がったが、ではいったい誰がコンペティションでザハ・ハディッド氏の案を採択したというのだろうか。ザハ氏に関しては、斬新なデザインを立案するものの実現できない建築案が多いという前評判も分かっていたはずだ。
なにわともあれ、56年振りに開催される東京オリンピックへの盛り上がりに水を差す結果となったことは否めない。さらに、5年後に開催される五輪に向けて新国立競技場以外にも課題は多い。宿泊施設や移動手段、また外国人向けの案内表記、ビッグサイトに替わる会場予定の選定、真夏開催による熱中症対策など、多くの課題を着実に解決してオリンピックを成功に導いてもらいたいものだ。