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ミヤコ商事 日本毛織の傘下へ




関東地区を代表する家具卸売業者ミヤコ商事株式会社(本社:東京都豊島区、社長:藤井裕士氏)は、同社の全株式を東証一部に上場している日本毛織株式会社(本社:大阪市中央区、社長:富田一弥氏)に売却し、同社を中心とするニッケグループの傘下に入ることを発表した。

今回の株式売却による事業内容や人員に大きな変化はないとされ、経営陣の陣容については代表取締役社長の藤井裕士氏がそのまま社長を努めることとなる。ただし、藤井社長以外の旧経営陣は全員退任、ニッケグループから新たに非常勤の役員3名(うち1名は監査役)が就任し、実務面で経理・総務部門を担当する者が駐在する見通しだ。

ニッケグループは同社生活流通事業部を通じて、報道関係各社に対して3月28日付けで、ミヤコ商事の全株式を取得し、完全子会社化したことを通知。ミヤコ商事が保有する物流システム・ノウハウをグループ内で共有し、お互いの取り扱い商品をクロスセルすることで、シナジー効果を発揮していきたいとしている。

昭和38年に東京豊島区巣鴨で藤井産業の屋号で創業したミヤコ商事は、翌39年に法人化。現社長の実父で今回の傘下入りまで代表取締役会長を務めていた藤井金吾氏とその親族が中心となって事業を拡大してきた。前社長の堅実な経営姿勢もあって基本的には無借金経営を貫き、事業規模の拡大の点についてはやや慎重すぎるのではという声が聞かれる一方で、財務面を含めた体質面の強さにおいては評価の高い企業として知られている。業績面も、直近となる平成27年12月期の売上高は19億4,000万円で大幅黒字を確保。前述の通り事実上の無借金経営で、自己資本比率は60%台を堅持している。現社長の藤井裕士氏は昭和42年生まれで、上智大学卒業後、6年間伊藤忠商事に勤務した経歴を持つ。平成9年に入社後は、一時売上減少に苦しんだ時期もあったが、近年はアマゾンジャパンなどネット販売業者との連携を強化。藤井氏が社長に就任した平成24年の売上高はは13億9,111万円、同24年が15億6,974万円、同26年が18億1,190万円、同27年が19億4,000万円と増収基調を辿っている(利益面も増益推移)。

一方、日本毛織株式会社を中心とするニッケグループは、連結で売上高1,000億円以上を計上する東証一部上場企業。明治29年設立で今年12月に120周年を迎える。元々はウールなど名前の通り毛織物の製造や販売を主業としてきたが、現在はこうした衣料繊維事業の他に、産業機材事業、人とみらい開発事業(不動産開発)、生活流通事業(商社機能と物流サービス)といった事業を展開。繊維、非繊維の意識を無くし、総ての事業で新たな成長を目指す取り組みを行っている。


藤井社長によると今回の傘下入りは、ニッケグループ側からのアプローチであったことが分かる。ただ、堅実経営で知られ、事業規模も拡大基調となっていたミヤコ商事が敢えてニッケグループに参加する必要があったのだろうか。この問い対して藤井社長は、「第一にニッケグループ経営陣に対する信頼とその真摯な姿勢があったからこそですが、ミヤコ商事として現在の事業を継続的に成長させるためには、ある一定の事業規模と、大手企業を相手にするための資金的な背景が必要だと考えました」と語る。店舗型、ネット型にしろ、超大手といわれる企業が市場を寡占化する中で、商品供給側として生き残るために大きな決断をすることになったようである。



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