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新型コロナウイルスが中国企業に多大な影響を与える


昨年末ころに、原因不明の肺炎が中国の武漢で流行っていることが報じられた。しかし、そのころは今のように大きく報じられることは無かった。年が明けてから、それが新型コロナウイルスによるものということが一斉にニュースなどで大きく取り上げられるようになり、また中国の春節とも時期的に重なったことから日本でも大きく取り上げられるようになり、今では連日のように国内外の感染者数や死者数などが報じられている。
 中国政府は感染拡大を防ぐため、春節の休暇を延長したり、海外への団体旅行を禁止するなどの措置をとってきた。その成果もあってか中国国内における感染者の増加ペースは徐々に安定してきたといわれている。しかし、その一方で死者数は増え続けており、また日本など周辺国での感染者が増えつつある。
 そして、この新型コロナウイルスは経済的にも大きな影響を与えているといわれている。特に中国は日本の主要貿易相手国であるため、様々な産業でその影響が出始めており、それは家具業界においても例外ではない。弊社が発刊している「ルームファニシング」の購読会員と、(一社)アジア家具フォーラムに加盟する一部の中国の家具製造業者などに話を伺ったところ、様々な回答が寄せられた。その中から主なものを紹介すると下記の通りである。

  ◆帰省先から戻れない従業員が多く、工場の工員が確保できない
  ◆マスクなどを準備しないと工場を稼働できないが、そのマスクが足らない
  ◆通行制限によって物流が混乱していて、資材が揃わない
  ◆工場を再開しても、生産量を戻すのに時間がかかる
  ◆得意先が仕入先をベトナムやタイなどに変更するのではないかと不安
  ◆出展を予定していた中国の見本市が延期になった
  ◆国外の展示会への出展が出来なくなった

延長された春節の休暇も2月10日(月)には明け、業務を再開した企業は多い。その中にあっても、工場の再稼働が難しい、あるいは再稼働しても以前の生産量を確保するのが難しいという回答が多かった。中にはいまだに生産が再開できていないという企業もあった。これは、特別通行証が無いと人や物資の移動が許可されない通行制限の影響が大きい。そして日本向けに家具を製造している企業の中には、この混乱の間に得意先を失うのではないかという不安を吐露する企業もあった。勿論、広い中国のことであるから、全ての企業がこのような状況にあるわけではなく、殆ど通常の状態に戻っているという企業もある。だが、そういった企業の中にも、3月に出展を予定していた中国の家具見本市が延期になった。または、海外の展示会への出展を取りやめざるを得なくなったなど、何らかの影響を受けているところがある。このように、中国の家具業界、とりわけ製造業者はかなり混乱した状況を強いられていることは事実である。両国の家具業界が、協力できるところは互いに助け合って、この混乱が少しでも早く終息することを願うばかりである。
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