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時事彩々≪第13回≫初任給と企業戦略




 世界の大学卒の初任給の比較が話題になっている。ある雑誌によると、日本の大学卒の初任給は月収20万円ほど。それに対して、オーストラリアでは42万円、韓国では30万円を超えるという。発展途上国のブラジルで22万円というのも驚きだ。

 ただ、この数字だけで即座に日本の経済力の低下とみるのは早計かもしれない。日本の初任給の2倍以上となるオーストラリアだが、現在の物価は日本の2倍から3倍高いとも言われる。韓国の場合は統計対象が一部の企業の正規雇用者に限られる上に、大学卒での非正規雇用が多いという実態を考えれば、正確な数字とはいいがたい。ブラジルの場合は大学進学率が10%台と低く、大卒=少数のエリートとなっている。

 そう考えると日本の初任給が一概に低いとは言えない。また企業文化の違いもある。海外企業の多くが即戦力を求めるのに対して、日本では終身雇用制と年功序列制をとる企業が多く、即戦力よりも人材を育てていく風土があるように思う。どちらが良い、悪いという問題ではなく、各企業の戦略や人材に対する考え方の違いがあるだろう。ただ、即戦力を求められ、結果だけがすべてという働き方に対して一抹の寂しさを覚えるのは歳のせいだけなのだろうか。



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