家具・インテリア情報 企業

大塚家具 中期経営計画を発表







株式会社大塚家具(本社:東京都江東区、社長:大塚久美子氏)は、2月26日、東京・丸の内のコンファレンススクエアM+にて中期経営計画を発表した。

間違ってはならないのは、今回の会見に関して、いくつかのメディアで報道されているような、前日の代表取締役会長である大塚勝久氏の記者会見に反発して急遽開かれた会見ではない。今回の社長会見は中期経営戦略の説明会として当初から予定されていたものであった。

冒頭、檀上に立った代表取締役社長大塚久美子氏は前日の会長会見に対して、3点についてのみ簡単に説明を行った。まず、消費者へのアプローチの問題については、「お互いの政策の違いによるものであるが、数字を見て判断してほしい」とコメント。また、ききょう企画への提訴に関しては、「提訴があった社債の件はすでに裁判で継続していることであり、個人の問題であって会社のコンプライアンスに結びつけることではない」とした。そして、最後に幹部社員が勝久氏の後ろに並んでいたことに「このような演出に社員を巻き込んでしまったことを申し訳なく思う」と答えた。

そして、本題の中期経営計画については資料が配布され、社長から説明がなされた。(以下、中期経営計画の骨子)

まず、ビジネスモデルの変革について。「食べること」「着ること」については日本は進んだ国であるが、「住」についてはまだまだ改善の余地がある。テレビ番組の「ビフォー・アフター」が人気になるなど、その関心は高い。また、家具市場については、新築住宅の着工件数は年々減少しているが、既存住宅数(空き家を除く)は増加傾向にある。これを踏まえて大塚家具は「住まう」ことへのソリューション提案を積極的に行っていく。そのためには、家具市場の質的変化への対応が必要である。2000年以降、追加購入や買い替え需要が主流となり、これまでのまとめ買いではなくなっている。従来の大塚家具の会員制での運営ではそれに対応しきれていない。またブランディングイメージについては、大塚家具には高そうなイメージがある。既存のままのイメージではコストパフォーマンスの良い商品を多く持っていることが広く伝えられない。よって、会員制による運営と高そうなブランディングイメージを払しょくしていく必要がある。

そのための施策として、既存店改革を進める。気軽に入れる、見れることを伝えるマーケティングやコミュニケーションを行い、来店促進の企画を充実させる。またインテリアアクセサリーの強化にも努める。店舗レイアウトの見直し、営業教育、顧客管理の強化を推進する。また、思い入れのある家具を捨てることに抵抗がある人のための買い取りやリユース販売にも注力していく。

新規出店に関しては、相応の商圏人口がある未出店の地域に大型店を出店する。具体的な候補地としては北海道、千葉、大阪・梅田など。出店は路面店を基本とし、テーマごとに専門店などの出店も想定する。また地方都市においては、百貨店など他社との提携により販売強化と顧客の取り込みを図る。

また、ホテルや高齢者住宅、介護施設などBtoB事業の強化にも製造直販という利点を活かしてより積極的に取り組む。

今後の展望について、今期の1-3月も赤字の見通しであるが、4月以降は新しい施策が功を奏し、15年期についてはおおむね黒字転換する予定。そして、2017年にはさらに収益を拡大し、売上高594億円、営業利益19億円、当期純利益14億円を達成する計画である。また来年(2016年)3月からは1株当たりの配当を40円から80円へ引き上げる見通しである。

取締役会には社内から4名を選出。知識と経験を集約した人事を行う。代表取締役社長のほかに、商品開発・物流については佐野春生氏、法人部門担当には大塚雅之氏、個人部門担当には山田和男氏が当たる。
(以上、中期経営計画骨子)

その後、会見は個別質問へと移り、終了した。

個別質問を含む会見の内容については、「ルームファニシング」3/9号に詳しく掲載予定。


中期経営計画に関して説明する大塚久美子社長


会場となったコンファレンススクエアM+の模様



家具・インテリア情報
更新情報
アーカイブ(過去記事)